今年の7月1日から全国一斉にレジ袋の有料化が始まった。
あれから2ヶ月が経った。
私は、未だにこの現象に強い違和感を持っている。
数年前からプラスチックごみ問題が世界的にクローズアップされているのは知っているし、プラスチックごみを削減していくことには大賛成だ。
ただ、レジ袋はプラスチックごみ全体の2%に過ぎない。
この施策が100%実行されたとしても、大勢にはほとんどインパクトがない。
なぜプラスチックごみの98%をしめるペットボトルやプラスチック容器の削減に着手しないのか?
大企業が、紙やその他の環境対応型の素材に切り替える方が短期間に大きな成果が上げられるはず。
それを全国民が死に物狂いでたった2%のゴミを削減するという大変な努力を強いて、状況を全国民で共有することに意義があるとでもいうのだろうか?
買い物が楽しくなくなった。
レジ袋は、お店にとっても客にとっても必要なものだ。
問題の本質は、レジ袋ではなくレジ袋の材料の方にある。
もちろんレジ袋があれば、客が買いすぎて心配になることもなく、お店にとっては客単価も上がる。
私は、昔から買い物大好きでいろんな店で買い物を楽しむ。
この2ヶ月で、私の買い物行動が変わってきた。
スーパーでちょっとだけ食料品を買いたいと思っても、エコバッグを持っていないときは、買い物をあきらめることが多い。
車のあるときは、大量に買っても、裸のままで車までカートで運ぶ。
ただ、未会計と間違われないかと、ちょっと後ろめたい感じがする。
もちろん、会計済みを証明するために、レシートは保管している。
せっかく、買い物してもかつてのような喜び感や満足感がなくなって、買い物の楽しみが半減したのは事実だ。
お店は万引き対策という新たな問題が!
お店にとって、レジ袋は未会計の商品と会計済みの商品を区分するという管理上の大きな役割を持つ。
レジ袋の有料化は、お店にも大きな不利益が生じる。
ひとつは、売上の減少だ。
少々の買い物は、レジ袋を買うことに抵抗感があって、買い物自体をあきらめてしまう。
また、エコバッグを持っていても、バッグに入る量しか買わない。
いずれにしても、かつてのように、買った後の心配することなく衝動買いをするということは減ってくる。
また、買い物をするたびに、いちいち立ち止まって考えて、店に入る回数が減っていく。
もうひとつは、万引き対策とそれに伴うコストアップだ。
エコバッグを持って店内で買い物をしているとき、他店で買ったものがバッグに入っている。
エコバッグの蓋が開いた状態だと、店内の商品を人目を盗んでバッグに入れることが容易にできる。
買い物を終わった後も、レジ袋なしで裸で会計済みの商品を持ち帰る人と未会計の人との区分がわかりにくくなって、それを監視するための要員やシステムを導入するコストが新たに発生する。
エコバッグを持っていない人は、レジ袋を買えばいい・・・???
今までの私の話に反論する人がいるかも知れない。
エコバッグを持ってないときは、普通に有料でレジ袋を買えばいいじゃないか。
「今までのように、無料じゃなくて有料になるだけのこと」という考え方。
もちろん、レジ袋は買ってもたかだか3円から10円。
「たった3円や10円が惜しいのか?」と言われるかも知れない。
ならば、プラスチックごみを減らすという効果はあまり期待できない。
近くのスーパーでは、週に1回、10%引きデーを設けている店もある。
レジ袋を有料化した分、商品の価格を下げている。
つまり、レジ袋の有料化による客の負担を軽減している。
有料でレジ袋を買う抵抗感を少しでも減らそうということだ。
これでは、いたちごっこで本来のプラスチックごみを減らすというゴールはほど遠い。
たとえ実現しても、プラスチックごみ全体のたった2%だと言うことを忘れてはいけない。
新たなスーパーの取り組み
私は、普段、6軒のスーパーで買い物をしている。
その中の2軒が、レジ袋の有料化に抵抗して戦っている。
プラスチックごみにならない新たな環境対応型のレジ袋を使用しているのだ。
いわゆるバイオマスレジ袋だ。
当然ながら、私が一番利用しているのはこの2店舗だ。
レジ袋の問題は、これからも注意して見届けていくつもりだ。
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最近の国の政策を見ていると、「木を見て森を見ず」が目に余る。
重箱の隅をつつくような子供だましのような無駄な施策でお茶を濁して、本来の問題や課題を先送りしているとしか思えない。